虎に惹かれる理由をたどる
虎の姿を見たことがある日本人は、かつて一人もいなかったはずです。けれど、私たちはなぜか、虎という存在をよく知っている気がします。 それは、絵巻や屏風、刀装具や陶磁器など、さまざまなかたちで“虎のイメージ”が語り継がれてき...
虎の姿を見たことがある日本人は、かつて一人もいなかったはずです。けれど、私たちはなぜか、虎という存在をよく知っている気がします。 それは、絵巻や屏風、刀装具や陶磁器など、さまざまなかたちで“虎のイメージ”が語り継がれてき...
古来より、日本人は自然の中に“かたち”を見出し、その姿に意味や物語を重ねてきました。刀装具においても、猪はしばしば画題として登場する動物のひとつです。その力強さ、荒々しさ、そしてまっすぐに突き進む姿は、戦(いくさ)の時代...
「万年青(おもと)」とは、文字どおり「万年も青々とした葉を保つ」ことから名づけられた植物です。常緑であることから縁起がよいとされ、古くから日本人に親しまれてきました。 葉は厚く、艶があり、中心から大きく扇状に広がるその姿...
刀装具の意匠には、しばしば驚くほど身近なものが登場します。 その中でも「茄子(なす)」は、一見すると地味に思えるかもしれませんが、実は深い意味が込められた画題です。日本文化における茄子の象徴性や、武士たちがなぜこの植物を...
日本の刀装具において、「蜘蛛(くも)」という意匠は、いささか意外に感じられるかもしれません。武士の象徴である刀に、昆虫を描く。その中でも、どこか不気味さをまとった蜘蛛が選ばれている。 しかしこの画題には、日本人の自然観や...
虎といえば、猛獣の象徴として知られています。その姿は力強く、堂々としていて、見る者を圧倒する存在感を放っています。 けれども、実は日本には野生の虎は存在しません。それにもかかわらず、虎は古くから刀装具や絵画、工芸品などの...
日本刀の刀装具には、驚くほど多彩な意匠が込められています。龍や獅子といった勇壮な存在から、朝顔や菊のような可憐な草花、そして豆のような小さな存在までもが、彫り込まれていることがあります。 「豆」という一見地味な題材に、職...
刀装具の世界には、草花や動物といった自然の意匠とともに、家紋や紋章のように格式を帯びた図柄も見られます。その中でも、五三桐紋三双図(ごさんきりもん・さんそうず)は、桐紋を繰り返し配置した重厚な構成をもち、目貫においても存...
刀装具には、虎や龍、獅子といった力強い動物たちだけでなく、時に意外な動物たちも意匠として登場します。そのひとつが「山羊(やぎ)」です。 現代の私たちにとっては、牧場や絵本で見る穏やかな印象が強いかもしれませんが、金工師の...
「瓢箪に馬」と聞いて、どのような情景を思い浮かべるでしょうか。瓢箪(ひょうたん)と馬は、一見すると何の関係もないように思えます。 しかし、日本には「瓢箪から駒が出る(ひょうたんからこま)」という、よく知られたことわざがあ...
麒麟という存在は、古くから東アジアの文化の中で尊ばれてきました。日本でもその姿は、美術工芸や刀装具の中に息づいています。 そして現代、小説『十二国記』を通して、私たちはまた別のかたちで麒麟に出会っています。今回は、武士た...
刀装具には、力強さや美しさだけでなく、持ち主の思想や価値観までも映し出すような意匠が施されることがあります。今回ご紹介する「梶の葉に抛筆図目貫」は、まさにその象徴ともいえるもの。 一見するとやや異色にも感じられる「筆」が...
刀装具を眺めていると、不意に心が留まる意匠に出会うことがあります。今回取り上げる「朝顔図縁頭」も、まさにそんなひとつでした。 細く伸びた蔓と、様々な色で表現された朝顔の花々。その佇まいには、力強さよりも、凛とした気品と清...
日本の四季を象徴する花々の中でも、「菊」はとりわけ特別な意味を持ってきました。秋の花としての風情にとどまらず、高貴・長寿・不老不死といった象徴性を担ってきた菊の意匠は、刀装具の中にもたびたび登場します。 今回の記事では、...
刀装具の中でも人気の高い画題のひとつに「獅子」があります。獅子目貫に代表されるように、しなやかで力強い体つき、威風堂々とした表情、そして動きのある構図が魅力です。しかしその人気の背景には、単なる見た目の美しさを超えた、文...
刀装具の世界では、虎や龍といった勇壮な動物の意匠が目を引きますが、今回ご紹介する目貫はそれとは少し異なる趣を持っています。 向かい合う二疋の牛。その静かで重厚な構図には、雄々しさよりも穏やかさ、そしてゆるやかな緊張感のよ...
刀装具には、実にさまざまな意匠があります。動植物や伝説上の存在だけでなく、身近な道具や文様が題材となることも少なくありません。 今回ご紹介する「矢羽根(やばね)」の目貫は、その代表的な例のひとつ。古来より武士の象徴であっ...
刀装具の価格を見て、「高い」と感じたことがありますか?私はあります。というか、最初の頃はほとんどすべてが高く感じていました。 目貫、鐔、縁頭……。初めて見るジャンルは、たとえ価格が控えめであっても、「未知のもの」に対する...
刀剣に興味があるけれど、本物の刀を手に入れるのはちょっとハードルが高い…… そんなあなたにぴったりなのが「刀装具」の世界。今回は、数ある刀装具の中から「目貫(めぬき)」の魅力をご紹介します。 👇️前回の記事はこちら 刀剣...
刀装具のなかでも、最初はなかなか意識されにくい部位があります。「縁頭(ふちがしら)」──鞘の縁(ふち)と柄の頭(かしら)に取り付けられる金具で、あまり目立たない部分かもしれません。ですが、私にとってはこの縁頭こそ、刀装具...
鐔(つば)に施された“透かし”という技法には、光と影が織りなす美しさがあります。刀を握る人の手元にありながら、見る者の目を奪うほどの繊細な意匠──それが透かし鐔の魅力です。今回は、私が思わず見入ってしまった透かし鐔との出...
今年で、日本刀に出会って4年ほどになります。最初は知識などまったくないまま、ただ「かっこいい」「なんとなく好き」という感覚だけで脇差を選びました。今回は、そんな“直感”から始める日本刀との関係について、少しお話ししてみた...
刀装具を眺めていると、ふと「これを誰が作ったのだろう」と思うことがあります。目貫、縁頭、鐔──どれも小さな金属の板や塊にすぎません。けれどそこには、植物や動物、人物や風景までもが息づいていて、まるで時を越えて語りかけてく...
刀装具と聞いて、多くの人は「美術館に飾られているようなもの」や「ガラスケースに収められた骨董品」を思い浮かべるのではないでしょうか。実際、私自身もこの世界に足を踏み入れる前はそう感じていました。 しかし、刀装具を手元に置...
鐔(つば)という刀装具には、正面から見える意匠だけでなく、その「裏側」にも独特の魅力があります。今回は、私自身が惹かれた一枚の鐔を通して、“裏の美しさ”についてお話ししてみたいと思います。 👇️前回の記事はこちら 鐔との...
刀装具の魅力は、意匠や技法だけではありません。その中には、四季の草花が描かれていることが多くあります。 👇️前回の記事はこちら 梅、桜、朝顔、菊──いずれも、日本人にとってなじみ深い季節の花ばかりです。 中でも、最近手に...
雨宿りで偶然出会った日本刀。それが、私と刀装具の世界とのはじまりでした。 👇️前回の記事はこちら かつての日本刀には、多くの美しい金属装飾が添えられていました。今回は、その中でも特に私の心をとらえた「目貫」という小さな存...
刀剣に関心を持ったきっかけは、ある雨の日の偶然の出会いでした。初心者の視点で、日本刀や刀装具への興味が広がっていく感覚を綴っています。