朝顔の縁頭に感じた、小さな季節の気配

刀装具の魅力は、意匠や技法だけではありません。
その中には、四季の草花が描かれていることが多くあります。

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梅、桜、朝顔、菊──いずれも、日本人にとってなじみ深い季節の花ばかりです。

中でも、最近手に入れた縁頭に彫られていた「朝顔」の意匠には、静かに心惹かれるものがありました。

草花への視点の変化

正直なところ、私は長い間、朝顔という花に特別な印象を持っていませんでした。
むしろ、大人になってからは街中で見かけた記憶すらあまりなく、目に入っていたとしても心には残っていなかったのだと思います。

朝顔の存在を意識するようになったのは、刀装具に草花のモチーフが多いことに気づいてからでした。
関心がなければ通り過ぎてしまうような植物の姿に、いつの間にか目がとまるようになっていたのです。

モチーフとしての「朝顔」の魅力

刀装具の中の朝顔もまた、実物と同じように大きく花開いたその姿が、どこかかわいらしくてよいのです。
形そのものが美しい花でもあるし、細く伸びた蔓や葉の流れと組み合わせると、構図としても映える。
小さな刀装具の中に咲くその花には、見た人をやさしい気持ちにさせる力があるように感じます。

技法と彩りに見る、金工の美

私が手にした朝顔の縁頭は、金・赤銅・素銅の象嵌(ぞうがん)によって彩られていて、色の対比やバランスがとても美しいものでした。
朝顔の花びらはふんわりと丸みを帯びていて、細く伸びた蔓や葉の流れと相まって、ひとつの小さな世界のような静けさを感じさせます。

特に感心したのは、葉脈の表現でした。
ごくわずかな起伏や線の彫り込みで、葉の質感や生命感が浮かび上がってくる。
実際の葉を手に取って観察したかのような観察眼と技術が、この小さな金属片に注ぎ込まれているのだと感じました。

季節を感じるまなざし

ちょうど、これから朝顔が咲く季節になります。
街角や庭先で、ふと見かけることがあるかもしれません。
そんなときは、ほんの少しだけ足を止めて眺めてみてはいかがでしょうか。

刀装具を通して草花に目が向くようになった私のように、
日常の中にある小さな美しさに、ふと気づける瞬間が訪れるかもしれません。

ゆみのひとこと

朝顔って、もともとは通りすがりに見るだけの花だったんです。
でも、tomaが毎回足を止めて写真を撮るから、
だんだん特別に見えてきちゃって。
色も少しずつ違ってて、それがまたいいんですよね。

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