町人文化が愛した“蟹”──親しみと祈りをこめた意匠
水辺にすむ蟹は、昔から日本人にとって身近な存在でした。波打ち際を横に素早く歩く姿、堅い甲羅に守られた身体、そして威嚇するように構えたはさみ──その独特な形態は、自然の不思議さと生命力を直感的に感じさせるものがあります。 ...
水辺にすむ蟹は、昔から日本人にとって身近な存在でした。波打ち際を横に素早く歩く姿、堅い甲羅に守られた身体、そして威嚇するように構えたはさみ──その独特な形態は、自然の不思議さと生命力を直感的に感じさせるものがあります。 ...
少し前になりますが、久しぶりに壬生寺に行った時のことをレポートします。参加したのは、2022年7月9日(土)です。 👇️前回の記事はこちら 壬生寺での特別体験 壬生寺で羽織を着て刀を持てるイベントは珍しいので、事前予約制...
名も刻まれず、ただ“家”の名のもとに作られた刀装具──。後藤家は、四百年にわたって彫金の伝統を支え、制度の中で美を育てた一族でした。この記事では、その足跡と思想をたどりながら、「家業」という視点から刀装具の文化的役割を見...
刀装具や日本文化について学びたいと感じたとき、信頼できる資料に触れることはとても大切です。とはいえ、古い書籍は手に入れにくく、すぐに読める環境が整っているとは限りません。そんな時に頼りになるのが、国立国会図書館デジタルコ...
「万年青(おもと)」とは、文字どおり「万年も青々とした葉を保つ」ことから名づけられた植物です。常緑であることから縁起がよいとされ、古くから日本人に親しまれてきました。 葉は厚く、艶があり、中心から大きく扇状に広がるその姿...
後藤家は、刀装具の制作において長く宗家としての地位を保ち、格式ある「家彫」の系統として知られてきました。江戸幕府をはじめとする将軍家や有力大名に仕えたその歴史は、権威と制度のもとに積み重ねられたものといえます。 その一方...
家彫という言葉に象徴されるように、後藤家の刀装具は単なる職人仕事ではなく、家格や組織的な仕組みと共に紡がれてきた技術と格式の集積でした。 前編では、初代祐乗から四代光乗に至るまでの技術と思想の確立をたどりましたが、後編で...
刀装具の意匠には、しばしば驚くほど身近なものが登場します。 その中でも「茄子(なす)」は、一見すると地味に思えるかもしれませんが、実は深い意味が込められた画題です。日本文化における茄子の象徴性や、武士たちがなぜこの植物を...
2025年6月15日、東京・御茶ノ水ファーストビルの8階にて、初めての刀装具展示を行いました。当日は13時から17時まで会場の一角をお借りし、私たち「紡盛堂」が所蔵する刀装具を展示しました。 展示といっても、格式ばったも...
今年で、日本刀に出会って4年ほどになります。最初は知識などまったくないまま、ただ「かっこいい」「なんとなく好き」という感覚だけで脇差を選びました。今回は、そんな“直感”から始める日本刀との関係について、少しお話ししてみた...
刀装具を眺めていると、ふと「これを誰が作ったのだろう」と思うことがあります。目貫、縁頭、鐔──どれも小さな金属の板や塊にすぎません。けれどそこには、植物や動物、人物や風景までもが息づいていて、まるで時を越えて語りかけてく...
刀装具と聞いて、多くの人は「美術館に飾られているようなもの」や「ガラスケースに収められた骨董品」を思い浮かべるのではないでしょうか。実際、私自身もこの世界に足を踏み入れる前はそう感じていました。 しかし、刀装具を手元に置...
刀剣に関心を持ったきっかけは、ある雨の日の偶然の出会いでした。初心者の視点で、日本刀や刀装具への興味が広がっていく感覚を綴っています。